注文住宅の見積もりは有料な場合が多いことをご存知ですか?
引っ越しやリフォームなど、一般的に見積もりは無料というイメージですよね。
でも注文住宅はあなたのためだけに唯一無二の家を考えてもらうので、その性質上、有料な場合が多いです。
そして有料だからこそ、見積もり内容をより精査して、意義のある検討材料・打ち合わせ材料にしたいものです。
そこで、この記事では注文住宅の見積もりを依頼する際の下準備や見積もりの確認ポイント、値引き方法などの情報をまとめました。
注文住宅の見積もりは有料?無料?
注文住宅の見積もりは「有料の場合」と「無料の場合」があります。
基本的にラフプランは無料で見積もりしてもらえることが多いです。
ただ、たとえば設計事務所に見積もりをしてもらう場合、設計士側からしてみれば、あなたのためだけに唯一無二の家を考えて形にしていくので、何度も無料で見積もりしてもらうことは難しいです。
一方ハウスメーカーの場合、大部分はパッケージ化されているので、無料での見積もり作成に応じてもらいやすいです。
ただ、具体的に敷地調査や地盤調査、設計士が書いたプラン提出など、どこまで対応してもらえるかは会社によって異なります。
注文住宅の見積もりを取る前の3つの下準備
見積もりを依頼する前に、次の3つの下準備をしておくだけで、効率よく、具体的な見積もりを作成してもらうことができます。
また、ハウスメーカー、工務店、設計事務所では、家づくりの方法がそれぞれ異なるので、「あなたが建てたい家を実現してくれるのはどのタイプか?」を知っておくことも大切です。
もしも下準備がまだでしたら、各リンク先の記事を参考にしてください。
注文住宅は必ず相見積もりをする
注文住宅の見積もりを依頼する場合、必ず相見積もり(複数社に見積もりを依頼すること)を行うようにしましょう。
相見積もりを行うことで、
- 優良業者と巡り会える
- 適正価格で注文住宅を建てられる
ようになります。
1)相見積もりによって優良業者と巡り会える
親身になって打ち合わせをしてくれる業者もいれば、しつこいセールスばかりしてくる業者もいます。
また、私たちの要望にただ機械的に応えるだけのシンプルな提案しかしてこない業者もいれば、プロならではの驚くような提案を行ってくれる業者もいます。
複数社に見積もりを依頼し、比較することによって、あなたの大切な家づくりを安心して任せられる優良な業者と巡り会えるようになります。
2)相見積もりによって適正価格で注文住宅を建てられる
注文住宅は自動車のように「定価」がないため、見積もりによって業者ごとの価格を比較し、適正価格を見極める必要があります。
もちろん注文住宅は安ければ良いというものではありません。
ただ見積額が他社よりも高いようなら、なぜ高いのかを質問して理由を知ることで、その先の対策が打てます。
見積もりは何社から取ればいいの?
どんな注文住宅会社があるのかを調べる第1段階では、できるだけ多くの会社からカタログを取り寄せ、情報収集をした方がいいです(→注文住宅のカタログ一括請求サイトおすすめ3選)。
ただ第2段階の見積もりを比較する段階になると、前述の5つの注意点のように、確認すべきポイントがたくさん出てきます。
そのため相見積もり自体は重要ですが、比較すべき会社数が多すぎると、かえってあなたの確認作業が大変となり、チェック精度が落ちやすくなります。
そこで、まずは5社前後まで絞って見積もりを取るのがおすすめです。
なお見積もりや間取りの提案をしてもらった際、一見すると要望が反映されていないようでも、プロの視点から考えられた別の解決案が盛り込まれていることもあるので、説明だけは受けた方が自分たちのためです。
その上で、もしも納得できなければ、追加で数社に見積もりを依頼してください。
注文住宅の見積もりを比較する際の5つの注意点
1)金額だけで判断してはいけない
注文住宅の見積もりを比較する際、金額だけで判断するのは危険です。
金額だけで判断すると、どうしても安さで施工業者を決めてしまいやすくなりますが、手抜き工事を行えば、注文住宅も簡単に値段を下げることができてしまいます。
安かろう悪かろうでは、一生安心して暮らす家は手に入りません。
必ず内容や保証サービスなども総合的に検討した上で、選ぶようにしましょう。
2)工程や材料の違いを確認する
工程や期間、材料の違いを確認してください。
工程を省いたり、安い材料を使ったりすれば、注文住宅の価格を安くすることができるからです。
材料の違いは馴染みがないと分かりにくいかも知れません。
でも、例えば同じ条件で依頼しているのに、他社と比較して極端に工期が短い場合は、その理由をきちんと確認する必要があります。
3)別途工事費を確認する
注文住宅の建築費は「本体工事費」と「別途工事費(付帯工事)」に大きく分けられ、見積もりの中に別途工事費が記載されていない場合があります。
建築費 | |
---|---|
本体工事費 | 別途工事費 |
建物自体を建てる工事にかかる費用。 基礎工事、木工事、屋根工事、外壁工事、建具工事、内装工事など。 |
建物以外の工事にかかる費用。 既存建物の解体費、地盤改良工事費、外構工事費、照明器具工事、カーテン工事費、空調工事費、屋外電気工事費、給排水などの引き込み工事費など。 |
よくある失敗例が、見積書に別途工事費が含まれておらず、家自体にお金をかけすぎてしまい、「駐車場などの工事費用がなくなってしまった!」というケースです。
最悪の場合、家は新築なのに、庭の工事は全く手を付けていないという事態に陥ってしまいます。
見積書のフォーマットは記載方法は各社異なりますが、本体工事費だけでなく、別途工事費の確認も忘れないようにしてください。
4)支払いのタイミングを確認する
支払いのタイミングの確認も重要です。
「自己資金の準備」や「住宅ローンの申請」に大きく関わってきます。
一般的には3〜5回に分けて支払うことが多いです。
見積書自体に記載されていることはあまりないので、口頭もしくは別途資料などで確認してください。
5)保証・補償を確認する
万が一に備えて、保証・補償の確認も欠かせません。
いくら価格が適正でも、家がきちんと完成しなければ意味がありません。
- 検査体制はどうなっている?(自社検査なのか、第三者機関の検査なのか)
- 建設工事保険には加入している?
- 請負賠償責任保険には加入している?
- 万が一倒産した場合は?(住宅瑕疵担保責任保険や住宅完成保証制度)
- アフターサービスの内容や頻度は?
保証・補償も見積書に記載されているものではありませんが、安心して暮らせる家を確実に手に入れるため、必ず確認をしてください。
注文住宅の見積書の見方と事例
見積書のフォーマットは各社異なりますが、
- 工務店の場合は、工事の種類ごとに金額を提示する「工種別見積もり」
- ハウスメーカーの場合は、躯体・屋根・建具など部位ごとに金額を提示する「部位別見積もり」
が多いです。
では実際に見積書を見ながら、見積もりの見方を確認していきましょう。
総額28,100,000円の注文住宅の事例
本体工事費22,308,596円+付帯工事費5,791,404円=総合計28,100,000円の注文住宅の見積書です。
続いて内訳を見ていきましょう。
本体工事の見積もり内訳
建物自体にかかる本体工事費の内訳です。
事例は工事ごとに金額を提示する「工種別見積もり」なので、どのような工事を行い、それがいくらかかるのかを判断することができます。
見積書で疑問点があれば、どんなに小さなことでも必ず質問するようにしましょう。
また見積書を参考にして打ち合わせを重ねていき、必要のないものを減らすことで、費用を抑えることができます。
付帯工事の見積もり内訳
建物以外にかかる別途工事費(付帯工事費)の内訳です。
付帯工事は、必ずしも工務店に依頼しなければいけないわけではありません。
そのため新たな業者とのやりとりに面倒を感じないのであれば、費用に応じて、内装業者や外構工事業者など、直接専門業者に頼む方法も一つです。
注文住宅を値引きしてもらう方法はある?
注文住宅は人生に一度の大きな買い物。
工事の品質を保ちつつ、できるだけ費用を抑えたいものですよね。
そこで見積額を抑える方法をお伝えします。
1)シンプルにする
注文住宅を建てる際、できるだけシンプルな間取りや内装にすると費用を抑えられます。
手間暇がかからないため、材料費や施工費用が抑えられるからです。
2)お金を使う部分にメリハリをつける
何でもかんでも費用を抑えてしまうと、いざ家が完成した時に満足度の低い家になってしまう恐れがあります。
そこで「お金をかける部分」と「節約する部分」とメリハリをつけると、費用を抑えられますし、こだわりたい部分にはきちんとお金をかけられるので満足度も高まります。
たとえば庭などの外構部分はまた数年後に手を加えるとして、今回はキッチンやお風呂など毎日使う場所にお金をかけるなどです。
ぜひ下準備でおすすめした「理想の家ノート」を見返しながら、メリハリのある予算の使い方をしてください。
3)機材の調達はハウスメーカーや工務店に任せる
材料や設備機器メーカーは、ハウスメーカーや工務店に任せると費用を抑えることができます。
ハウスメーカーや工務店によっては、安く仕入れられるメーカーがあるからです。
有名メーカーではなくても、品質が良く高機能なものはありますので、特にこだわりがないのであれば、機材はハウスメーカーや工務店に任せてしまいましょう。
4)大手ハウスメーカーに依頼しない
大手ハウスメーカーには大手ならではの安心感がありますが、一方でCMなどの広告宣伝費や営業マンなどの人件費などに膨大な経費がかかっています。
あなたが支払う費用から
- 下請け会社へのマージン
- 商品開発費
- 営業・人件費
- モデルハウス建築費
- 広告宣伝費
などの経費にもお金が回されるので、一般的に、支払った金額の約6割程度の費用しか実質工事にかけられていないと言われています。
たとえば大手ハウスメーカーに約3,000万円で依頼したのと同じグレードの注文住宅が、地域の工務店に依頼すると約2,500万円で建てることもできるのです。
とはいえ、大手ハウスメーカーには基本性能や保証サービスが充実しているというメリットもあります。
大手ハウスメーカーに注文住宅を正式依頼するのであれば、4割増しの施工費用を支払うメリットがあるか検討した上で、頼むようにするといいです。
5)土地購入と建設を同じ会社に頼む
まだ土地購入をされていないなら、土地の購入と注文住宅の建設を同じ会社に依頼すると、手数料を割引してもらえることがあります。
特に大手ハウスメーカーであれば、社内に不動産売買部門を抱えていることが多いので、地盤調査などの事前調査もスムーズに行ってもらいやすいです。
また設計事務所や工務店であれば、懇意にしている不動産会社を紹介してもらうことで、場合によっては手数料を割引してもらえることがあります。