「断熱材って、どうやって選べばいいの?」と悩んでいませんか?
注文住宅では自分の好きな家を建てられる代わりに、断熱材一つとっても、自分で選択しなければならない手間や苦労がありますよね。
そこで、この記事では11種類の断熱材の特徴比較や施工方法によるメリット・デメリット、見落としがちな検討ポイントなどをご紹介します。
断熱材の種類と特徴の比較
断熱材はその原料により、主に3つに分けられます。
無機繊維系 | ||
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素材 | 材質 | 特徴 |
グラスウール | リサイクルガラスなどを原料としたガラス繊維 | 低価格の割に性能が高いため(耐久性・耐火性・吸音性に優れています)、木造建築では最も多く採用されています。 |
ロックウール | 製鉄で発生する高炉スラグや玄武岩などが原料の人造鉱物繊維 |
発泡プラスチック系 | ||
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素材 | 材質 | 特徴 |
硬質ウレタンフォーム | ポリイソシアネートとポリオールを原料に、発泡剤などを混ぜて生成した素材 | 高い断熱性があり、薄くても高性能を発揮します。 現場で発泡して吹き付けるタイプもあり、隙間のない施工が可能です。 |
ポリスチレンフォーム | ポリスチレンを発泡させたものに、建築用として難燃剤を含む素材 | ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は軽量で緩衝性が高いです。 押出法ポリスチレンフォームは硬質で圧力に耐えられるため、外張り断熱によく利用されます。 |
高発泡ポリスチレン | ポリスチレンを発泡させた素材 | ほかの発砲プラスチック系と比べて柔軟性があり、柱間に充填しやすいです。 |
フェノールフォーム | フェノール樹脂を発泡させた素材 | 長期間安定して高い断熱性能を発揮します。 発泡プラスチック系の中でも燃えにくく、不燃・準不燃材料の製品があります。 |
自然系 | ||
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素材 | 材質 | 特徴 |
セルロースファイバー | パルプや新聞古紙を綿状に加工したリサイクル素材 | 現場で吹き込むか、吹き付けるので、筋かいが通るような施工しにくい場所でも確実に断熱材を入れることができます。 |
ウール | 羊毛 | 自然系断熱材の中では比較的ローコストです。 |
木質繊維ボード | 間伐材、林地残材、樹皮、廃材などの木質資源を線維化し、ボード状にした素材 | 柱間に充填して施工します。 高い断熱性能と資源の有効活用面から、エコ建材として注目されています。 |
炭化コルク | ワインの栓やコルクタイルなどに利用できなかったコルクを粉砕し、熱と圧力を加えて固めた素材 | 高温の蒸気によって炭化されており、高い断熱性と吸放質性を発揮します。 |
再生ポリエステル繊維 | ペットボトルをリサイクルした再生ポリエステル繊維 | 熱で繊維を自己融着させているため、接着剤を一切使用していません。 ホルムアルデヒドなどの有害物質を放散しないので、人体にも環境にもやさしい断熱材です。 |
素材により熱伝導率(同じ厚さで比べた熱を伝える割合)が異なり、どれも厚くなるほど断熱性能が上がります。
また形状も
- パネル状
- マット状
- 吹き込み材
- 吹き付け材
などがあり、施工方法もそれぞれ異なります。
必要な断熱性能と、建物のつくりや部位に適したものを選んでいく必要があります。
重鎮断熱と外張り断熱とは?
次に断熱材の主な施工方法「重鎮断熱」と「外張り断熱」についてご紹介します。
最近、外張り断熱という言葉はCMでも流れるので、耳にしたことがある方も多いかもしれません。
重鎮断熱とは
重鎮断熱とは、木造住宅の柱と柱の間に断熱材を入れる方法です。
壁の内側に空間があるのですが、その柱と柱の間にある空間に断熱材を入れる、最も一般的な方法です。
グラスウールやロックウールなどの無機繊維系断熱材を壁一面に張ることが多いのですが、セルロースファイバーを吹き込む「吹き込み工法」や、ボード状に加工した断熱材をはめ込む「パネル工法」も、この重鎮断熱工法に含まれます。
なお鉄筋コンクリート造住宅の場合、断熱層が構造躯体の内側にあることから「内断熱」と呼ばれます。
重鎮断熱のメリット
- スペースがあるため、ぶ厚い断熱材を入れることができる
- 一般的な方法なので、比較的安価で済む
- 使用可能な素材の種類が多い
- 外壁仕上げ材に影響しない
重鎮断熱のデメリット
- 筋交いなどがある場合、断熱材の種類によってはすき間なく詰めることが難しく、断熱性能を著しく落とす恐れがある
- 気密性の確保が難しく、防湿層を設けなければ、内部結露を起こしやすい
外張り断熱とは
外張り断熱とは、ボード状の断熱材を柱や梁など構造躯体の外側に張って、木造住宅全体を包む方法です。
すき間なく貼り付けることができ、熱ロスが少ないことから、寒冷地では多く採用されています。
鉄筋コンクリート造住宅の場合、断熱層が構造躯体の内側にあることから「外断熱」と呼ばれます。
外張り断熱のメリット
- 家全体を包むので、重鎮断熱と比較して、家(構造躯体)は長持ちしやすい
- 断熱材の取り付けが容易
- すき間ができにくいため、結露しにくい
外張り断熱のデメリット
- 重鎮断熱と比べて、施工コストが高くなる
- 家の外側に張るため、重鎮断熱と比較して、断熱材は経年劣化しやすい
- 外壁材をしっかり固定する下地を設置しなければ、外壁材が落下する恐れがある
天井の断熱
天井の断熱は、特に夏に大きな効果を発揮します。
天井の上にマット状の断熱材を敷きこんだり、吹き込みタイプの断熱材を吹き積もらせる方法があります。
天井の「上」に断熱材を仕込む場合、屋根裏に設ける換気口は、夏に屋根から伝わる日射熱を外に逃すために必須です。
ただし断熱材が天井の「下」つまり「屋根下面」に入っている場合、屋根裏空間は室内と同じ環境となるので、この換気口は不要です。
床の断熱
床の断熱には
- 床板のすぐ下に密着して断熱材を敷きこむ床断熱
- 基礎の立ち上がり部分の外側または内側に断熱材を張る基礎断熱
の2種類があります。
床断熱の場合、床下は外気と同じ状況になるので、床下の湿気を逃すため、基礎に床下換気口が必要です。
一方、基礎断熱の場合、床下も外気の影響を受けにくく室内と同じ扱いになります。
そのため地盤面を必ず防湿し、床下換気口は設けません。
断熱材を選ぶ際に注意したいポイント
断熱材を選ぶ際に「性能」や「価格」はしっかりと比較されると思いますが、もう1つ見逃してはいけないのが「オーバースペックでないかどうか」です。
日本の国土は縦長のため、地域による寒暖差があります。
北海道や東北などの寒冷地では通常とされる「寒さ対策」としての断熱性能が、比較的温暖な関東より南のエリアでは、どこまで必要かということです。
関東より南のエリアでは、じめじめとした蒸し暑い夏を快適に過ごせるよう、むしろ「湿度調節」機能も持ち合わせた断熱材を検討する必要があるかもしれません。
そのため家づくりは、あなたが住みたい地域で家を手がけたことがあるハウスメーカーや設計事務所に依頼するのがおすすめです。
断熱材の特徴を考えると同時に、その地域の気候風土も理解した上で、過不足のない断熱材の提案をしてもらうことで、住み心地の良い、満足度の高い家を手に入れることができます。
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