地盤改良を行わずに家を建てた場合、家が斜めに傾いてしまう不同沈下や液状化、地震で家が全壊するなどの被害が発生する恐れがあります。
実際、地盤事故の損害額は1事故あたり566万円ほどの補修費用が発生しています(財団法人住宅補償機構の統計より)。
家を建てる前には、地盤調査と地盤改良が欠かせません。
この記事では地盤改良工事の種類と費用の相場などをご紹介します。
地盤改良とは
家を建てる前に「地盤調査」を行い、その土地が家を建てることに耐えられるか「地耐力」を調べます。
そして地盤調査の結果を踏まえ、どの程度の「地盤改良」が必要か検討されます。
どんなに頑丈な家を建てても、地盤がゆるいままだと意味がありません。
周辺に埋め立て地はないか
液状化の心配はないか
周辺道路に陥没はないか
と地盤調査を行うことで、どの程度の補強が必要なのかが分かります。
そして杭を入れ、土を入れ替えることで地盤を安定させます。
地盤改良にもいくつか種類があり、土質や軟弱地盤の深さによって適切な工法が変わります。
業者に丸投げすることなく、自らも適切な工法が採用されているか確認することが大切です。
地盤改良工事の種類
地盤改良は大きく3つに分けられます。
1)表層改良
セメント系材料と土を重機で混合攪拌して転圧、締め固めを行う工法です。
地盤の弱い層が地表から2m以内の場合に行い、狭小地でも行うことができます。
【表層改良で注意する点】
- 改良する深さより浅い箇所に地下水位がある場合は避けた方がいい
- 地盤の強い箇所が傾斜している場合、表層改良を行った後に地盤にかかる重量が異なってくるので、業者がきちんと計算を行っているか確認する必要がある
- 表層改良は土地を削るので、隣と接していたり、塀などがある場合は、近隣に事前説明が必要
- 業者が六角クロムなどの汚染物質となる材料を使用していないか確認が必要
2) 柱状改良
地盤の弱い層が地表から2m以上8m以下の場合、土の中にコンクリートの柱をつくることで地盤を安定させる工法です。
現在もっとも多く採用されています。
【柱状改良で注意する点】
- 柱状改良を行った場所に、基礎が規定以上に接地しているか確認が必要
- 敷地内に擁壁がある場合、柱状改良に底板を当てないように注意が必要
- 土地自体が埋蔵文化財包蔵地内である場合、調査が必要になるので着工が遅れる場合がある
- 表層改良と同じくセメント系を使用する場合、六角クロムなどの汚染物質となる材料を使用していないか確認が必要
3) 鋼管杭打(こうかんくいうち)
地中に鋼製の杭を入れる工法です。
地盤の弱い層が地表から2m以上で、狭小地などの大型重機の搬入が難しい場合に行います。
【鋼管杭打で注意する点】
- 強い地盤まで鋼管杭が届かなければ強度が保てない
- 工事中の騒音や振動が大きくなるので、近隣に事前説明が必要
地盤改良工事の費用相場はいくら?
工法 | 費用の目安(坪単価) | 費用相場 |
---|---|---|
表層改良 | 深さ1m当たり2~3万円 | 安 |
柱状改良 | 深さ4~5m当たり4~5万円 | ↕︎ |
鋼管杭打 | 深さ5~6m当たり6~7万円 | 高 |
地盤改良の工事費用は工法によって異なりますし、施工地が狭小地であるなど作業スペースの確保が難しい場合は、さらに費用がかさみますが、
1階の坪数が約20坪だとすると、40~140万円ほどの費用がかかります。
建築の施工業者によっては、いくらぐらいの地盤調査費用がかかるのか見積もりの段階で計算してくれるところもありますので、忘れずに予算にいれておきましょう。
またセカンドオピニオンによる他社の地盤調査によって、費用が抑えられる場合もあります。
さらに一般的には表層改良が低価格ですが、表層改良は建物の基礎より広い範囲の工事を行うため、柱状改良や鋼管杭打の方が安くなる場合もあります。
なお造園を考えている方は、庭の土も固めてしまうため、地盤改良の変更や庭の土量を増やす必要も出てきます。
地盤改良をケチると危険
地盤改良は家の基礎づくり。
もちろん費用はかかりますが、地盤改良しておくことが、結果的には家族の命と財産を守ることに繋がる、欠かせない工事です。
また費用だけでなく、施工業者の工事実績や信頼性も重要です。
「無駄な工事はないか」「手抜きはされないか」を見抜くためにも、その地盤改良が必要な理由を、きちんと理解できるまで業者から説明を受けてください。