広い庭を確保したものの、「外から丸見えになるので意外と使えない」という後悔談があります。
そんな時、中庭であれば、建物によって周囲からの視線が遮られるので、プライバシーが保たれた「使える庭」となります。
また中庭から家の中に「光」と「風」を導くこともできます。
そこで、この記事では中庭のある注文住宅のメリットとデメリットを紹介していきます。
中庭のある家のメリット
1)どの部屋も明るくできる
北側に面する部屋は昼間でも照明に頼らざるを得なくなりがちです。
その点、中庭のある家ならば、どの部屋にも満遍なく太陽光を取り入れることができるようになります。
やはり「明るい家」というのは住んでいて気持ちの良いものです。
本来北側にある部屋に光が差し込むことはありませんが、コの字やロの字の家で中庭を設ければ、たとえ敷地の北側にある部屋にも南向きの面をつくることができます。
注文住宅ならではの家づくりのメリットですね。
2)プライベートな空間なので安心して楽しめる
中庭は家そのものに囲まれた場所なので、周囲の視線を気にすることなく自由気ままに寛ぐことができます。
昼間からお酒を飲んでも、日向ぼっこしながら昼寝をしてもいいですね。
もしも小さなお子さんがいるのなら、車やバイクにぶつかる心配をすることなく、自由に遊ばせることができます。
3)風の通り道を確保できる
中庭があると、窓を開け放つことで、家中に空気を循環させることができます。
季節ごとに変わる風向きにも対応できるので、年間を通じて風通しのよい家となります。
中庭のある家のデメリット
1)建築費用が高くなりやすい
中庭のある家を建てる場合、
- 外壁の面が増える
- 形状が複雑化する場合がある
- 家の強度を確保する必要がある
- 明るさ確保のために窓(サッシ)を多く設置する必要がある
などにより、建築費用が高くなってしまいます。
また中庭の演出方法によっては、屋外用照明器具や給排水設備などの設置工事、外構工事(エクステリア工事)が必要になるので、その分だけ費用が高くなります。
2)メンテナンス費用がかかりやすい
外壁塗装や屋根塗装は家を守るために欠かせない、約10年に一度必要なメンテナンスとなります。
そして中庭をつくった場合、外壁面が増えたり、その形状が複雑化していると、このメンテナンス費用が高くなることがあります。
また日常的な掃除も若干面倒かもしれません。
たとえば四季の移ろいを楽しむために、中庭には大きな窓を設置しがちですが、その場合はガラス拭きが大変です。
さらに庭に水が溜まらないように排水設備を設けたとき、枯葉や土が詰まらないよう、定期的に清掃業者に依頼する必要もあります。
恒常的に小さな水溜りが発生すると、そこから湿気が上がりやすくなりますし、蚊などの虫が発生しやすくなります。
自分で掃除できるのか、業者に頼まなくてはならないのか。
注文住宅で中庭のある家をつくるときには、こうした維持管理のしやすさも細かく打ち合わせしておくと失敗がありません。
3)冷暖房費が高くなりやすい
中庭を楽しむために多く設ける窓(サッシ)ですが、窓が増えるほど断熱性能は弱まります。
このため冬場はせっかく暖めた室内の空気が冷めやすく、空調にかかる費用が高くなりがちです。
窓の断熱性を高めるためには、ペアガラスやトリプルガラスを採用する必要がありますが、もちろん通常のシングルガラスよりは高くなります。
月々のランニングコスト(電気代)を抑えるためにも、特に寒い地域では、建築費用(窓代)を多めに確保しておく必要があります。