【注文住宅を建てる7ステップ】
- 資金計画を立てよう
- 間取りをイメージしよう
- 構造や性能を考えよう
- 土地を購入しよう
- 依頼先を探そう
- 設計・工事を依頼しよう
- 住宅ローンを申し込もう
ラフプランと見積もりを頼もう
注文住宅にかける予算や希望する間取りがおおむね決まったら、気になる依頼先にラフプランと見積もりを依頼します。
なおラフプランの作成は有料のところと無料のところがあるので、事前に確認をしておくと安心です。
渡せるよう準備しておくといいもの
- 家族のプロフィール
- 家族のライフスタイル
- 新しい家への要望(雑誌の切り抜きなども)
- 備えたい性能
- 家族で考えたエリア分け
- 予算
- 土地の資料や写真
現場も見てもらうと、より的確な提案が期待できるので、所有している土地があったり、購入を検討している土地が決まっているなら、足を運んでもらうといいです。
設計事務所を選ぶ際の4つのポイント
依頼すると、2週間ほどでラフプランと概算の見積もりが提出されることが多いです。
各社によって、考え方・技術・デザインの特徴などが異なります。
そこで各社のラフプランを比較する際は
- デザイン
- 性能
- 機能性
- 人柄
の4つを軸に比較していくと検討しやすいです。
なお一見すると要望が反映されていないようでも、プロの視点から考えられた別の解決案が盛り込まれていたりするので、必ず説明だけは受けた方が自分たちのためです。
設計事務所を決定し、設計契約を結ぼう
ラフプランの内容や対応など総合的に判断して、依頼する設計事務所を1社に絞り込んだら、設計業務委託契約(設計契約)を申し込みます。
この時、知っておくべきことは、施工は、建て主であるあなたと工事請負契約を結んだ施工会社が行うという点です。
設計と施工は別々の契約に基づき、完全に分離して行われるわけです。
ただ完全に分離していると、工事が設計図書通りに進んでいるのか素人の私たちには分かりません。
そこで設計図書の作成者である設計事務所に工事監理業務も委託するのが一般的です。
【工事監理業務とは】
- 施工会社へ見積もりの依頼
- 見積書のチェック
- 施工会社の選定
- 工事請負契約の立ち合い
- 工事請負契約書のチェック
- 現場のチェック
- 監理報告書の作成
- 各種検査の立ち合い
- 引き渡しの立ち合い
- 工事費請求のチェック
契約前には設計事務所から重要事項説明を受けます(法律で義務付けられています)。
重要事項説明の内容は
- 設計業務の範囲
- 監理の方法(監理も委託するか否か)
- 業務に携わる建築士
- 報酬の支払いのタイミング
- 契約解除の方法
など正に“重要”なことだらけなので、しっかり内容を確認し、納得した上で後日契約を結びます。
設計事務所への支払いについて
設計事務所には、工事費とは別に、設計料・監理料を支払います。
設計料・監理料あわせて、工事費の10%~20%が相場です。
支払は
- 設計契約時に1/3
- 実施設計完了時に1/3
- 引き渡し時に1/3
というように3回か5回に分けて支払うことが多いです。
工事費の概算見積もりが2,500万円なら、設計料・監理料あわせて約250万円。
5回払いなら、1回あたり50万円ほど用意しておく必要があるのね。
設計契約後の流れ
設計契約を結んだら、いよいよ本格的な設計に入ります。
基本設計そして実施設計と進んでいくわけですが、
- 配置図
- 立面図
- 平面図
- 断面図
- 仕様書
- 工事概要書
- 仕上げ表
- 平面詳細図
- 断面詳細図(矩計図/かなはかりず)
- 構造図(伏図・軸組図・詳細図など)
- 展開図
- 電気設備図
- 家具詳細図
- 給排水衛生設備図
など「基本設計図書」「実施設計図書」と言われる沢山の書類に目を通し、内容を確認していくことになります。
かなり地味でハードな作業になりますが、これら確認作業が新居の性能や使い勝手を決定していくので、家族で協力して乗り越えていきます。
内容を確認して問題がないようであれば「完了報告書」に署名・捺印をし、設計は完了となります。
設計変更はいつまでOK?
家づくりをはじめると「やっぱりこっちの方がいいかも!」と思うことが度々あります。
「まだ工事は始まっていないから、設計変更も間に合うんじゃない?!」と思ったりもしますが、実際は変更希望内容や家づくりがどこまで進行しているかで変わってきます。
設計中の場合
基本設計後の間取りの変更、実施設計後の仕様の変更は対応してもらえる可能性があります。
ただし契約外の業務として追加費用が発生することもあるので要注意です。
また構造に関係していると変更は難しくなるので、できるだけ早く相談することが大切です。
建築確認申請後の場合
建築確認申請を出した後の変更は極力避けます。
設計変更届けを出すわけですが、場合によっては確認申請のやり直しが必要になり、着工が大幅に遅れたり、住宅ローンの手続きが進まなかったりします。
また工事が始まる前でも、材料の調達や職人さんの手配などが進んでいることがあり、現場の段取りを狂わせ、結果、施工ミスにつながる恐れもあります。
施工中の場合
工事中に変更をお願いしたいところが出たら、現場の職人さんに伝えるのではなく、まずは現場責任者や管理を依頼している設計者に相談します。
そして図面を作成してもらい、見積もりをとり、変更による工事費の増減や工期の延長を確認し、納得してから進めます。
工事の見積もりを確認しよう
- ハウスメーカー
- 工務店
- 設計事務所
のどこに頼むかで、見積もりを依頼するタイミングは異なります。
設計事務所に依頼する場合 (例) |
ハウスメーカーや工務店に依頼する場合 (例) |
||
---|---|---|---|
相談 | 相談 | ||
ラフプランの依頼 | 概算見積もりも依頼 | ラフプランの依頼 | 概算見積もりも依頼 |
依頼先の決定 | 依頼先の決定 | ||
設計・監理業務の契約 | 詳細な打ち合わせ | 営業や設計担当者と打ち合わせる | |
基本設計 | 実施設計 | 工事の本見積もりを依頼 | |
実施設計 | 工事の本見積もりの依頼(相見積もり) | 工事請負契約 | |
施工会社の決定 | 契約には設計者にも立ち会ってもらう | 工事着工 | |
工事請負契約 | 竣工 | ||
工事着工 | ※ハウスメーカーや工務店は多様化しているので、上記の流れに当てはまらない場合もあります | ||
竣工 |
監理委託業務契約を結んでいれば、設計事務所が施工業者への見積もり依頼・検討・調整など一連の作業は行ってくれますが、
のちに施工会社と契約するのは建て主のあなた自身なので、あなたも資料と照らし合わせて、内容を確認します。
施工会社の選び方5つのポイント
1)迅速な対応をしてくれる信頼性があるか
- 営業担当者は信頼できそう?
- 問い合わせに迅速に対応してくれる?
- プラン変更をした場合、すぐに新しい見積書を提出してくれる?
- 報告・連絡・相談はどのくらいの頻度でしてくれる?
家づくりは数カ月かけて行われるので、長くお付き合いできる業者を選びます。
2)万が一に備えて、保証制度の確認を
- 検査体制はどうなっている?(自社検査なのか、第三者機関の検査なのか)
- 建設工事保険には加入している?
- 請負賠償責任保険には加入している?
- 万が一倒産した場合は?(住宅瑕疵担保責任保険や住宅完成保証制度)
- アフターサービスの内容や頻度は?
安心して暮らせる家を確実に手に入れるため、必ず確認をしておきます。
【建設工事保険】
火災・台風・盗難・作業ミスなどによって、工事対象つまり家に生じた物的損害が補償される。
【請負賠償責任保険】
工事中に発生する物損事故や人身事故に対して補償が行われる。
3)得意な工法は?
- 得意な工法は?
- どのくらいの棟数を建てた実績がありますか?
施工会社にも、得意な工法と不得意な工法があります。
専門性の確認と合わせて、得意分野の実績の確認をしておくと良いです。
なお「何でも建てます」という姿勢には問題があります。
何でもできるという会社は、どの工法が得意なのかが分からないからです。
また工法によって家づくりの工程や段取りは全く異なり、すべての工法に熟知するというのは、ほとんど不可能です。
1~2つの工法で専門性を高めていれば、仕事の質もどんどん良くなっていき、余計な時間もかからず、コストダウンにもつながります。
4)予算を意識した価格を提案してくれるか
- 全体でいくらかかりますか?
- この金額に含まれない工事には、どんなものがありますか?
「価格への不安を打ち消す提案をしてくれるか」がポイントとなります。
「坪単価はいくらですか」と問い合わせる方が多いですが、実際には建物本体工事費以外にも別途工事費がかかり、最終的には当初の金額を大幅に上回ることも珍しくありません。
家は坪単価ではなく「全体の金額」で考えるのが原則です。
率直に「お金の面が心配なんですけど、どうしたらいいでしょうか?」とあえて大雑把に質問してみるのも良いかもしれません。
信頼できる業者であれば、予算をしっかり意識した上で提案をしてくれます。
5)後継者がいるか
建てた後の家は、例外なくアフターフォローとしての「メンテナンス」が必要になります。
かつては一職人としてあなたの家づくりに関わった職人さんが、20年後には親方としてメンテナンスしてくれる。
こんな風に、10年・20年・30年と付き合っていける、我が家のことを知ってくれている施工会社の存在は心強いです。
住宅瑕疵担保責任保険について
住宅瑕疵担保履行法とは
家づくりがはじまったものの、途中で施工会社が倒産しては大変!
お金は既に(一部)支払っているのに、家が建たないという事態に陥ってしまいます。
そんな万が一に備えて施工会社にあらかじめ確認しておきたいのが「住宅瑕疵担保履行法」の遵守です。
住宅瑕疵担保履行法は、「保険への加入」か「保証金の供託」を施工会社に義務づけています。
保険への加入の場合
施工会社が個々の住宅について保険契約「住宅瑕疵担保責任保険」を締結します。
工事が始まる前に、施工会社が保険の申し込みをします。
保証金の供託の場合
施工会社が住宅の供給戸数に応じた保証金を供託所に預け置きます。
ハウスメーカーや大手ビルダーに多い対応です。
住宅瑕疵担保責任保険とは
住宅瑕疵担保履行法に基づき定められた、「構造耐力上主要な部分」および「雨水の侵入を防止する部分」に関する、10年間の瑕疵担保責任の範囲が保険の対象となります。
つまり
- 屋根
- 外壁
- 開口部
- 柱
- 土台
- 基礎
などが10年間保険の対象となります。
「瑕疵(かし)」つまり「欠陥」が生じた場合、建て主のあなたは、無料補修などを施工会社に請求できます。
そして施工会社は、補修費用に保険金を充てることができます。
万が一、業者が倒産している場合には、建て主であるあなたに直接保険金が支払われるので、その保険金で別の施工会社に補修を依頼することができます。
見積書4つの確認ポイント
見積書の書き方は各社で異なりますが、
- 工務店の場合は、工事の種類ごとに金額を提示する「工種別見積もり」
- ハウスメーカーの場合は、躯体・屋根・建具など部位ごとに金額を提示する「部位別見積もり」
が多いです。
見積書は以下4項目を参考に、設計図書と照らし合わせながら、内容に誤りがないかチェックしていきます。
内容 | 本見積の確認ポイント |
---|---|
工事費内訳書の有無 | 工事費内訳書だけでなく、内訳明細書も添付されていますか? |
本体工事費 | 建物本体から外構や家具まで、依頼予定の工事項目がもれなく記載されていますか? |
別途工事費 | 照明器具・カーテン工事費・ガス工事費・地盤補強などがもれなく記載されていますか? |
設備機器 | 希望するキッチン・トイレ・システムバスなどの機種や型番に間違いはないですか? |
もしも見積額が予算をオーバーしている場合は、設計者と相談し、プランや仕様を変更してから再見積もりを依頼します。
工事請負契約を結ぼう
施工会社を絞り込み、本見積もりの内容に納得したら工事請負契約を結びます。
- 契約書
- 契約約款
- 設計図書
- 見積書
すべてに目を通し、書かれている工事費や工事内容があっているか確認します。
工事請負契約書の確認ポイント
- 工事費や工事内容が「最終の」見積書、設計図書の内容と同じか
- 着工日が明記されているか
- 完成日が明記されているか
- 引き渡し日が明記されているか
- 請負者である会社の社名、住所、担当者が正しく書かれ、捺印されているか
契約約款の確認ポイント
- 設計変更、工事の変更、工事の中止など、トラブルがあった場合の対応について
- 違約金について
- 契約解除について
- 工事や支払いが遅れた場合の対応について
- 工事費の支払い方法について
- 工事完成後の保証(アフターサービス)の範囲と期間について
建築確認を申請しよう
工事に入る前に、必ず行わなければならないのが建築確認申請です。
建築確認とは、これから建てる家が建築基準法などの法令に適合しているか調べる公的なチェックです。
申請手続き自体は、設計事務所などの依頼先が代行してくれますが、着工日や住宅ローンの申し込みにも関わる重要な手続きです。
建築確認申請に関する法的な手続きの流れ
【1】
依頼先が代理人として、手数料分の収入印紙を貼った「建築確認申請書」(正・副2通)など必要な書類を揃えて申請します。
【2】
審査を通れば、3週間ほどで「確認済証(建築確認通知書)」が交付され、ようやく着工が可能になります。
もしも不適合の部分があれば、設計図を修正して、再申請が必要です。
【3】
確認済証とともに戻ってくる建築確認申請書の副本は、着工後の中間検査時や完了検査時に必要なため、依頼先の会社に保管してもらい、建物の引き渡しの際に検査済証とともに手渡してもらいます。
【4】
建物の登記を行う時や、将来リフォームをする際に必要になるので、大切に保管しておきます。
設計契約や工事請負契約にあたっては専門用語もたくさん出てくるから、疑問点はどんどん質問した方がいいね。
そうね。あと口約束はトラブルのもとなので、必ずメモをとらないとね。
まずは注文住宅の資料を取り寄せてみよう
まずは家を建てたい地域にどんなハウスメーカーや工務店があるか探してみましょう。
ハウスメーカーの情報はホームページでも確認することが出来ますが、複数のハウスメーカーを比較する時には、紙のパンフレットの方が見比べやすいです。