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2022年度の住宅ローン控除が見直される理由|控除額の縮小?控除期間の再延長?

イエ子
イエ子

2021年度の税制改正では、住宅ローン控除の期間延長や面積要件の緩和がありましたが、2022年度税制改正では、住宅ローン控除が大きく見直される可能性が出てきたので、このニュースについて分かりやすくお伝えします。

 

→追記)2022年度の住宅ローン控除の詳細が発表されました。

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2022年度税制改正で住宅ローン控除はどう変わる?

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは

「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを利用して、注文住宅をはじめとする住宅の新規購入や増改築をした方のための減税制度です。

原則的に、10年間にわたって年末の住宅ローン残高の最大1%が所得税・住民税から控除されます。

最大控除額は400万円(長期優良住宅等は500万円)とあって、マイホームを購入・増改築する人にとって非常に助かる制度です。

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2021年度:控除期間が「13年」に延長

2021年度税制改正では、原則的に「10年」という住宅ローン控除の期間が、一定の要件を満たした場合に限り「13年」に延長されました。

延長にいたったのは、新型コロナウイルス蔓延による住宅需要の低下を懸念してのことです。

控除期間が延長される主な要件は、以下の通りです。

【契約期限】

  • 注文住宅:2021年9月末
  • 分譲住宅・中古住宅:2021年11月末

【入居期限】

  • 2022年12月末

契約期限が迫っているため、住宅ローン控除の期間延長は間もなく終わる制度なのですが、ここにきて控除期間延長が2022年度も継続する可能性が出てきています。

2022年度税制改正では、住宅ローン控除の期間が「13年」に据え置かれるのかに注目です。

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2022年度:控除額が実質的に「縮小」の可能性も

2022年度の税制改正では、控除期間の再延長の可能性が出てきた一方、「控除額」については実質的に縮小する可能性が出てきました。

現行制度では、年末の住宅ローン残債の1%が控除額の上限となりますが、2022年度は「実際に支払った住宅ローンの利息額」が上限となる可能性が浮上しているのです。

近年、住宅ローン金利はかつてないほどの低水準で推移し、変動金利が0.4%を切る金融機関も出てきています。

たとえば0.4%の住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、住宅ローン控除による控除額が「実際に支払った住宅ローンの利息額」となれば、控除額もまた0.4%になってしまうということです。

つまり、現行制度と比較すれば、2022年以降にマイホームを購入した方の控除総額は、半減以下になる可能性も出てきたということです。

続報:控除率0.7%に引き下げ

政府・与党は年末に適用期限を迎える「住宅ローン減税」について、現在、年末時点のローン残高の1%としている控除率を、0.7%に引き下げる方向で最終調整を進めています。

また借入残高の上限についても、現在、一般住宅の場合4,000万円のところを、3,000万円に引き下げる方向です。

この場合、控除の上限は一般住宅が年21万円になります。

住宅市場が冷え込まないよう、控除期間は延長される案が出ています。

住宅ローン控除の見直しが検討されている2つの理由

1)利息より大きい控除が問題視されているから

控除額の見直しが検討されている1つ目の理由は、利息より大きい控除が問題視されているからです。

1986年度に制度が始まったときの住宅ローン金利は5%前後でしたが、近年は日本銀行のマイナス金利政策の影響で1%を切る商品が多く出ています。

そのため、支払う利息よりも控除額が大きくなることが多く、ローンを組む必要がないのに組んだり、繰上げ返済をしなかったりする動機になっていると、指摘されています。

政府は2022年度税制改正で、年末時点の借入残高の1%分を所得税などから控除できる住宅ローン減税について、控除を縮小する方向で検討に入った。
低金利を背景にローン金利が1%を割り込むことが多く、控除額が支払利息額を上回る「逆ざや」が発生するケースも目立つ。
所得や信用力が比較的高く低金利で多額のローンを組める人ほど、減税の恩恵を受けやすい仕組みになっているとして、是正に乗り出す。

時事通信

住宅ローン控除は、もともとマイホームを購入する人の「金利負担軽減のために」導入された制度です。

近年は「実際の金利負担より控除額のほうが多い = 住宅ローンを組んだほうが得をする」という現象が起きており、この点を是正するために改正が検討されているのです。

2)長期優良住宅へ誘導するため

長期優良住宅は高度な省エネ性能や耐震構造を持つ住宅ですが、政府は脱炭素化の取り組みの一環として、長期優良住宅の普及を狙っています。

そのため、一般的な住宅よりも長期優良住宅を優遇することで、長期優良住宅が増えるよう誘導する考えです。

宮沢洋一氏(税制調査会長)は住宅ローン減税の見直しについて、「長期優良住宅とそうではない住宅との差をかなり広げなければならない」と述べた。

読売新聞

最大500万円となっている長期優良住宅の優遇政策についても、今後目が離せません。

2022年度の住宅ローン控除の詳細が発表されました!

住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、2025年末まで4年間延長されることになりました。

そして見直しの結果、速報でもお伝えしてきた通り、省エネ住宅を優遇する内容になりました。

新築の場合

現行制度 2022年度
控除率 1% 0.7%
控除期間 10年 13年

控除率は1%→0.7%に引き下げられましたが、控除期間は13年間に延長されました。

 

現行制度
借入残高の上限
 I)認定住宅 5,000万円
II)一般住宅 4,000万円
2022年〜2023年
入居
2024年〜2025年
入居
借入残高の上限
1)認定住宅 5,000万円 4,500万円
2)ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
3)省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
4)その他の住宅 3,000万円 2,000万円

ローン残高の上限は、2段階→4段階になります。

そして省エネ住宅(上記1〜3)が優遇され、それ以外の住宅は現在の4,000万円→3,000万円に引き下げられます。

*ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス):断熱性を高めるなどで、年間のエネルギー収支をゼロ以下にした住宅

中古の場合

現行制度 2022年度
控除率 1% 0.7%
控除期間 10年 10年

中古住宅の場合、控除期間は現在の10年が据え置きに。

 

現行制度
借入残高の上限
 中古住宅 2,000万円
2022年〜2025年入居
借入残高の上限
1)認定住宅 3,000万円
2)ZEH水準省エネ住宅 3,000万円
3)省エネ基準適合住宅 3,000万円
4)その他の住宅 2,000万円

中古住宅も、ローン残高の上限は4段階になり、省エネ住宅(上記1〜3)が優遇されます。

所得の要件

住宅ローン控除を受けることができる所得の要件は、現在の3,000万円以下→2,000万円以下に引き下げられます。

富裕層により有利な現在の仕組みを是正するためです。

中間所得層では減税の恩恵が増えるケースもある

国土交通省の試算によると、中間所得層では控除を受けられる総額が今回の見直しによって増える可能性があるとのこと。

国土交通省によると、現制度の所得税と個人住民税の控除上限額は10年間で計400万円だが、年収600万円の層(夫妻と16歳未満の子供2人の世帯を想定)は、その納税額からして控除額が300万円程度にとどまる事例が多く、上限いっぱい活用できていないという。
改正後は年収600万円以下の中間層などが省エネ住宅を買い、平均的な額でローンを組んだケースで見た場合、控除額が増える計算になるとしている。

産経新聞

上記の想定家族の場合、現行では控除額が10年間で合計299万円ですが、控除期間が13年間に伸びるため、控除額は合計314万円になり、控除総額が全体で15万円増える試算とのこと。

2022年税制改正はいつから適用されるの?

税制改正は新年度より施行されます。

つまり、2022年度の税制改正内容が実際に適用となるのは2022年4月1日からです。

これから注文住宅の購入やマンションの購入、マイホームの増改築を検討されている方は、最新情報を要チェックしてください。


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